『鬼魔王』プロローグ
修正&再投稿。
小説の書き方みたいなそういうものを読んで「これは直さんとな」と思ったので色々修正しました。
勿論プロットも作成済みですよん。
まだ一章までなんですが。ぼちぼち進めていくつもりです。
せめて処女作は完成しないと、また書くとき不安になりますからね。
「未完成の傑作より完成の駄作」というものです。駄作だろうとなんだろうとまず完成させて経験を積みませんと。
「影さん、小説家目指すの?」と思われるかもしれませんが、あくまで創作活動の一環ですね。
うごメモで動画として創るのはかなりの労力と時間を喰いますし、漫画も同じで更に漫画を書く技術と知識、相応の画力がありません。
小説ならば、と思った次第です。小説舐めんじゃねえぞと殴られそうですね。
ではプロローグです。
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『『鬼の魔王は平和好き』
プロローグ『勇ましいだけの者』
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僕は今、忌々しい魔族を統べる王、『魔王』が住む、いわゆる『魔王城』に来ていた。
──そう、幼少の時から夢に見ていた魔王討伐を目的に。
少なく、そこらの魔物より弱い、『魔王』の手下を蹴散らしつつ南へ、南へと進んだ。
僕は英雄に憧れていた。
勇者に憧れていた。
だが僕は選ばれなかった。
『勇者』になれなかったのだ。
神託で選ばれたのは従兄である、リオールという生意気で気力のない男だった。
僕は奴の事が非常に気に入らない。
大人ぶっていて、さも「己は現実を知っている」という態度をとり、僕の行動を「勇者ごっこ」と、小馬鹿にし否定した男だ。
本当ならば奴が『魔王』を討ち、人族を勝利へと導き、この世界を平和にしなければならないのに。
『それじゃ魔族と人族の戦いは終わらないさ。いくら俺が『勇者』でも無理だし、ならばいっそ一時的なものだとしても和平を結んだ方が良いだろう? 君がしてくれるのなら兎も角ね。『勇者擬き』君?』
と小馬鹿にされた。
なんで魔族なんかと手を結ばなきゃいけないんだ。
そう思った。
そこで僕は決心した。
あんな男は『勇者』に相応しくない。
あんな生意気だが、根は臆病で、全く勇ましさの欠片もない男に、『勇者』は相応しくないと。
なら誰が真の『勇者』なのか。誰が『勇者』に相応しいか。
勿論、この僕に決まっている。
僕は『魔王』の元へと足を急がせた。
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「忌まわしき魔族の王よ! 我が名はハインケル・グランダル! 『真の勇者』なり! 『魔王』に一騎打ちの決闘を申し込む!」
ここは『魔王城』の最上階、忌まわしき『魔王』は玉座にて座していた。
まるでこの僕を待っていたかの様に。余裕の表情で。
「ほう。ふふっ、今度は『真の勇者』ときたか。だが、お主の持つ武器は、『勇器』では無いところを見るに、『勇者』では無い様だが?」
「ふん! あんな『勇者』などお飾りに過ぎぬ! 故にこの僕がお前を討ち! 『真の勇者』として人族を救うのだ!」
「そうか」
『勇器』。
それは、『勇者』のみ触れることを許された武器。
持ち主の意思に合わせて形状を変えるそうだが、僕には最早そんな武器など必要無い。
「つまりお主はただの『勇者擬き』と言ったところか」
「そんなのどうでも良い! 『魔王』を倒してこその『勇者』だ!」
「『勇者』でも無い者に、妾を討てると?」
「ああ! 当たり前だ! 現にお前の手下なんか赤子の手をひねる程度だったぞ!」
そこで『魔王』は右側で座している黒髪と灰色の肌をした大男と、お互いの顔を見合わせた。
誰なのだろうか。玉座の隣に座しているのだから、王族の様なものだとは思うが。
因みに左側には、白銀の髪を伸ばした美形の男が、座りながら口に人差し指と親指を当てて、こちらを興味深げに見ている。
「要するに、手下が弱いからその主を討つのも容易いと? お主はそう申すのか?」
「その通りだ。特にお前の様な、か弱い女なら尚更だろう。人族がこんなのに恐れていたとは、と思う程だ!」
そう。真ん中に座る『魔王』は、ほぼ白に近い色の肌をしており、暗い紫をした癖のある髪を肩まで下げ、特徴的な角が額の端から二本生えている。
人族の女だったら一目で嫁に迎えさせようと思うであろう豊満な胸をした、女の鬼の『魔王』だった。
背は僕より高いのだろうが、僕にしてみればそう強そうには見えない。
「か弱い女、か。滑稽なまでに勇ましい者だ。そうは思わぬか? 『吸血魔王』シリア・スウィークスよ」
「ククッ、そうですねぇ。今まできた自称『勇者』より面白い程ですねぇ。『鬼神魔王』ハル・リバンドムド殿よ」
「ハッ! 我も同感だシリア・スウィークスよ! 滑稽、これに極まり! と言ったところよのぉ! ガッハハハ───」
「ええい、『不死魔王』リゲル=アスパイダ。煩いぞ。静かにせい」
「な、なっ……」
ま、待ってほしい。
色々と待ってほしい。
馬鹿にされたと思ったら、『魔王』の両側に居た奴らも『魔王』だったとは。
困惑の色を隠せない。
そこで玉座の間、向かって右手の扉から、コンコンと音が鳴った。
嫌な予感がする。もうやめてほしいんですが。僕の心はもうこれ程までに砕けているのに。
「来たか。良い時に来たな。入れ!」
僕にとっては良い気がしないんですがね。
そしてそいつらは入ってきた。
見覚えがある。
皆、忌々しい、赤黒い髪と灰色の肌をした男達だ。
ていうか僕が『蹴散らしたはず』の魔族達だ。
「そいつらだったか? お主が赤子の手をひねるかの様に蹴散らしたという、妾の手下というのは?」
「あ、あ、ああ?」
意味が分からない。
確かにこの自慢の剣で切り刻んで吹っ飛ばしたはずなのだが。
「ふん。そやつらは不死魔族だ」
「な、ふ、不死……魔族……」
「『攻撃行為はわざとするな、そして城へ通せ』と命令したのはこの妾だ。最も、そやつらは正式には妾の配下ではなく、この『不死魔王』リゲル=アスパイダの配下、だがな」
「フッハハハハァ! そうだ! そいつらは我の──」
「ま、妾の配下と言っても、そう違いはないがな。ふふっ」
『鬼神魔王』は、まるで男にイタズラでもしたかの様に、妖艶な笑みを浮かべてそう言った。
いや実際そうなのだが。
人族だったらドキッとしたかもしれない。
──何ということだ。この僕が、完全に、掌の上で、遊ばされていた。というのか。
ええい、魔族の分際でぇ……! 憎々しい……っ!
『不死魔王』リゲル=アスパイダが騒いでいた中、『勇者擬き』ハインケルは憤怒で、その身を震わせていた。
かつて『奴』に小馬鹿にされた、あの時の様に。忌々しい『魔王』を見つめながら。
ただ震えていたのだった。
そして『鬼神魔王』は、仕方なさそうに溜息を吐き、立ち上がった。
これもだ。
何処と無く、『奴』の仕草を連想させる何かがある。
「では『勇ましい者』よ。お主の決闘、受けてやろう。妾一人と一騎打ちであったな?」
「っ、ま、待たれ──」
「我、『鬼神魔王』ハル・リバンドムド。いざ、参る」
そんなよく耳に入る、凛々とした女性の声と、強い打撃音が鳴り響くのは、ほぼ同時のことであった。
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『勇者擬き』は『鬼神魔王』に数分で敗れ、気絶したところを捉えられた。
三人の『魔王』は彼を『勇ましいだけの者』と評したことを、ここに明記しておこう。
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どうでもいいけど、幕間無しで考えても全二十六話とかになりそう(幕間は入れるつもりです。少なくとも一章に一話程は)。